ある日の朝食
隣の庭に、立派なイチジクの木があり、枝は我が家の庭にも伸びている。この日の朝食はそのいちじくと、乾燥しかけたパンで作ったミニ・トースト。
ハンガリーは空気が乾燥しているからパンがあっという間に乾燥してしまう。24時間食べているのではないかと思われる息子たちがパンの袋をしっかりしめない時、乾燥しかけたパンが大量生産される。でも、ガーリック・トーストやトーストの砂糖がけにはこの半乾燥状態のパンがぴったり。
去年の今頃は窓から抜け出して夜遊びしていた長男も、やっと大きく揺れていた振り子が収まりつつある様子。今日はギターを抱えて友達数人とバスで1時間ほどの村であるお祭りに向かった。
ギターを弾くのは友達で、長男は他のメンバーとそばでうたをうたってその日の夕食代ぐらいはを稼ごうという計画らしい。
バラトン湖畔は夏中にぎわっている。あちこちでコンサートが開かれ、若い子だけでなくいろんな年代の人たちがやってきて楽しんでいる。そんなところに通っているうちに、音楽の趣味の合う友達ができてきたらしい。
「その子たち、何勉強しているの?」(ハンガリーでは普通高校に行くこと職業専門高校に行く子どもたちの割合は半々ぐらいで、早くから専門を学ぶ子たちの比率も高い)
「なんでそんなこと聞くんだよ、一番仲のいい奴は探偵を目指している(!?)。経理とか車の修理工の学校に行っている奴もいるし、普通の高校生もいるよ。」
「みんな遊ぶお金どうしているの?」
「金ないから、家の手伝いしたりしてる、おれみたいに」
長男は夏のお小遣いはなし。その代わり、言われたことを手伝えば時給でアルバイト料がもらえることになっている。
庭の草むしり、窓ふき、ふろ磨き、言われたことは何でもしているけど、起きてくるのが昼近くで3時にはバラトン湖に向かいたいとなると、労働時間はたいてい1時間。
1時間働いて手にしたお金を見て、その少なさにため息をついている。
もっと早く起きて働け!
これは長男が一時間かけてとったグースベリー。砂糖をかけて冷蔵庫で冷やしておくと、あっという間になくなってしまう。