それ、ほんとう?? その① ついたて
ブログ読んでます!とメールをいただいた。・・・というわけで、数か月ぶりの更新。
あちこちの保育園をまわっていると、似たような保育内容でも、実は、いろいろな考え方が取り入れられているのが分かる。
中には、なるほど、なかなかいいアイデアだな、と思うものがある。そして、これはたいがい、どこかの本に書いてあったとか、誰かが言っていた、というものではなくて、保育士たちが子どもを見ながら、保育をしながら考えだしたことだ。だから、クラスにも子どもたちにも合っているので、保育がより良くなることに貢献している。
でも、中には、保育が良くなる役には立っていないだろうな・・・というものも多々あり、実は、こちらの方が多い。
今回は「ついたて」について。
あそびの環境を作るためには、コーナーを作った方がいいのは事実だけれど、だからと言って、やたらとついたてで仕切ってコーナーを作るというのはどうなのだろう??
幼児の場合は、自分たちでもいろいろと遊びの空間を作りだし、ついたてがあることでそこが病院になったり、家ができたり、椅子を並べた横についたてをすればバスにもなってしまう。だから、部屋に一つか二つの低いついたてがあると、いろいろと遊びが広がっていく。
でも、乳児の場合は、ついたてがあることで視界が悪くなる。乳児の子どもたちはたいがい床に座って遊んでいるので、そこから他の場所にいる保育士が見えなくなる。他の場所で遊んでいる子どもたちのことも見えなくなる。
何のためにコーナーを作るのかといえば、そのことで子どもたちが遊びやすくなるからだ。どこでどんな遊びをしたら良いのかが分かりやすくなるし、どこにどんなおもちゃがあるのか、どこに片付けたらいいのかもわかりやすくなる。動いていい空間と床に座って遊ぶ空間が分かりやすくなれば、不本意にあそびを邪魔することもないし、邪魔されることもない。それぞれの遊びの目的に合った空間があれば、似たような遊びをしたい子が集まるので、自然と接点も増えてくる。
決して、”周りを見えなくして、集中できるようにするため”にコーナーを作るわけではない。もちろん、結果として、あそびに集中できるようにはなるが、私たちが子どもたちに育てたいのは、周りに関心を持ちながらも遊べる力だ。
乳児は、あそびながらも、時々、大人がどこにいるかを目で探す。視界が良ければ、違うコーナーにいても他の場所にいる保育士が視野に入るので、安心して遊び続けられる。でも、ついたてがあることで、子どもが大人の後を追って遊ぶことが増えないだろうか。
一つ言えることは、何かをすすめている相手が物を売ろうとしている人の場合は、そのまま鵜呑みにしない方がいい。ものを売る人は、物を売るプロであって、決して保育のプロではない。保育を変えようと思い始めている園には、物を売ろうとする人たちがたくさんやってくる。「まあ、そういう考え方もあるだろうけど、自分の園ではどうかな」と考えるのを忘れないようにしたい。
コーナーを作るなら、まずは敷物や遊具を置ける低めの棚を考えよう。乳児の場合は、カラーボックスを横にした高さの棚だと、視界的にも、そして、乳児の子どもが立って遊ぶにもちょうど良いです。