一人ひとりを大切にって・・・

一人ひとりを大切に・・・と思うから、中途半端になってしまうことってないですか?

「あ、泣いている!」「あ、うんちだ!」「眠たそう・・・」

一人ひとりに対応したいからこそ、一人ひとりが中途半端になってしまう・・・そんな場面がよくあるような気がします。

1歳の新学期。 (クマのぷーさん乳児保育園)

左側の保育士さんが食事に入り、しばらくして、右側の保育士さんが食事をすすめ始めた。この間、あそびを見ている人はいないので、子どもたちはそれぞれ過ごしている。(クラス構成は、子ども12人、保育士二人。となりの部屋と共通の保育助手が一人)

その中には、よちよち歩きの子が二人いた。ソファーに座っている女の子とサークルに入っている男の子は、午前睡があり、食事もまだ抱っこしての一対一。彼らの食事の順番は、左の保育さんの最後から1番目と2番目。

午前睡しているので眠くはならない。でも、サークルに入っている子はご飯を食べている子をみて最初は泣いていた。座っている女の子は、状況を理解しているようであそんで過ごしている。

サークルに入れている理由は、ご飯のところに来てしまうし(大人がご飯の介助で歩きまわっているので、足元にいられると危ない)、歩行が安定していないので大人が見ていない場面で一人にしておくのは心配、ということ。

こういった場面に出会うたびに考えさせられるのは、判断の基準、優先順位がはっきりしていること、大人がきっぱりしていることの大切さだ。

担任は、小さな子たちが泣き始めるのも、でも、そのうちに泣き止んで落ち着くのも分かっている。いつも決まった手順で、決まった順番で子どもたちを食事に誘っていくので、子どもたちも状況を理解できるようになっている。

大人は、自分が関わっている子を中途半端にしないできちんと最後まで見る。そのことによって、ご飯の順番がまだ来ていない、待っている子にとっても、状況が分かりやすくなる。

大人に関わってもらっている子は、大人がきちんと自分と最後まで関わってくれることを分かっているので、周りで泣いている子がいても安心していられる。

もしこれが、大人が泣いている子どもに動揺し、おんぶしたり、だっこしたりし始めたら、それまで関わってもらっていた子も不安定になる。中途半端におんぶされたり抱っこされたりする子は、見通しを持ち、自分なりに状況を理解することを学ぶことができない。

一人ひとりを大切にするとは、一人ひとりと中途半端に関わることではない。

その状況で、その子にとって本当に良いことは何なのかを、先を見通しながら関わること。

入園して1-2か月しかたっていない乳児のクラスに6人もの見学者が入ったというのに、子どもたちは動揺することもなく、大人との信頼関係の良さがよーく伝わってきた。

大人の愛情ある”きっぱり”は保育の重要なカギですよ。

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