せまいんです!!それでもできますか??
「うちの園、ほんと―――にせまいんです!それでもできますか?」と、研修の度に「はい!」と手をあげて確認されるYさん。
その度に「できます。狭くたって、おもちゃが少なくたって、できます!工夫次第です!!」と言ってきた。
東京の認証保育園といわれる園は、本当に狭い。玄関を開ければすぐに保育室で、廊下も何もなく、調理室、大人のトイレ、休憩室、洗濯室・・がそのまま保育室からつながっている。
園長室など1畳もないところがほとんどで、そこにコピー機やら書類棚などが入っている。ここで何年も仕事をしていたら、数年後には閉所恐怖症にでもなってしまうのでは・・・という狭さだし、だいたい、書類を広げて仕事などできるスペースではない。園長室から一歩出たらそこはもう保育室なので、園長室から出る=保育室に立っている=保育を見ている、ということになる。さりげなく保育を見る、ということが不可能な環境。時には聞かないふりをしておきたい職員たちの子どもへの声かけも、そのまま聞こえてしまう。そんな環境では、園長と職員の距離感も難しく、保育室のピリピリ感はそのまま園長に伝わってくる。
その中で保育を変えていきたいと思うには、相当なエネルギーが要る。
たしかにせまい。このタイプの園で保育室を作る時に難しいのは、何もない壁というのがほとんどないこと。どこの壁にもたいがいドアや収納、棚がついており、その上、保育室内が通り道になっている。
一般の保育園で働く人たちから見たらあり得ない環境だと思うし、実際にあってはいけない環境だと思うのだけれども、それでも、待機児童解消という名目で簡易的に作られた園に通う子ども達がたくさんいる。それなら、たとえどんな環境でもより良い保育を目指さないといけない。
というわけで、「そのとっても狭い園を見に行こうじゃないですか ♪」と、近くまで来ていたついでによらせてもらった。そして、玄関を一歩入って圧倒された。
狭さにではない(もちろん狭いのだけれども!)。保育士たちがこの一年、どれだけ苦労しながら環境を作ってきたのか、その熱意が玄関を一歩入ったところから伝わってきたからだ。そして、園長先生の想いも。
すべての面積が保育室で、実際に使えない空間(動線となってしまう部分)がかなりあることを考えると、空間を最大限活用しないとコーナーも動線も上手くとれず保育が混乱する。でも、とっても狭い中に、きちんと全てのコーナー(運動コーナーも含め)をとり、そして、動線も工夫してあった。
2カ月の日本での仕事の最後。エネルギーが切れそうです・・・という状態で行ったのだけれども、この園を見た瞬間に元気になった。全ての疲れは吹っ飛んだ。
保育園っていいなー、やっぱり、保育園に関わる人たちのことが私は好きだなーと再確認し、「もっと私にできることに何があるかな?頑張るぞ!」と思いながら飛行機に乗れたのでした(^^