本当の慣らし保育
このところ、あちこちで「慣らし保育」という言葉を目にすることが増えました。
最初は、いわゆる”本当の慣らし保育”の話かと思って「慣らし保育を導入している園がこんなにも増えたのか、いいことだ」と思っていたのですが、よくよく読んでみると、どうやらただの”短時間から慣らさせる入園の時期”の話のようです。
つまり、子どもだけが短い時間園に預けられ、その時間がだんだんと長くなっていく…という方法??
本当の慣らし保育は、これもハンガリーで行われているものですが、子どもがお母さん(もしくは家族のだれか)と一緒に慣れていく方法です。
最初の数日は、お母さんと一緒に園であそびます。
お母さんが一緒にいれば、子どもたちは新しい場所でも安心しておもちゃを手にとりますし、周りの様子を観察します。
お母さんが一緒なら、知らない大人(保育士)が近づいてきても、それほど怖がらずにすみます。
お母さんが一緒なら、お茶を飲むことも不安ではありません。
お母さんがおむつを替えてくれるなら、新しい場所でも安心できますし、その後も、喜んで手を洗ってくれます。
子ども達は、生まれた時からお母さんが新しい環境や新しい人、新しいものを全部教えてくれているので、「お母さんが新しいことを教えてくれる」はごく自然なことなのですね。
数日、園での時間を一緒に過ごす中で、お母さんが部屋から離れる時間をつくります。
そんな時は必ず「トイレに行ってくるね、すぐ戻ってくるから」などと説明をして、戻ってきたら「帰ってきたよ」と伝えます。
つまり、「お母さんはちゃんと戻ってくる」ことも経験していきます。その、部屋から離れる時間を長くしていきます。
ハンガリーの乳児保育園では2週間かけて行いますが、もし、とてもそれは無理ということでしたら、一週間、それも無理、ということだったらたとえ一日、お母さんと一緒に過ごすだけでも、子どもたちのストレスはかなり違います。(幼児の場合は数日)
保護者には、育児休暇を調整できたり、余裕をもって休みを取っている人が割と多いので、早めに伝えておけば母子で一緒の慣らし保育は可能だと思うのです。
園によっては、おばあちゃんやおじいちゃん、もしくは、都合のつくお父さんが一緒に来ているところもあります。
きちんとした慣らし保育を行えば、子どもたちの泣き方と園での過ごし方が全然!!違います。
保護者からもいろいろと聞く時間があります。そして、クラス全体の落ち着く時期が随分と早いはずです。
もっと早く書けば良かった…と反省していますが、詳しい方法は「おたより37号(春)慣らし保育・フリーの役割」にもあるので、ぜひ参考にしてください。
本来の方法とは違った「担当制」が一般的になりつつあるのと同じように、中身の違う「慣らし保育」が言葉として定着しつつあるような気がしています。「親子での慣らし保育」とでも言い替えたいところですが、それよりも、「担当制」「慣らし保育」の言葉の中身をきちんと伝えていきたいと思います。
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追:コロナで慣らし保育がしにくい園も多いかと思いますが、そこは子ども優先で慣らし保育をしている園もたくさんありますよ。