オンラインセミナー2022 第一分科会(担当制保育の基本) Q&A その⑦
Q. おむつ交換は一日にどのくらい行っているんでしょうか?
うちの保育園では0歳児から入室の際はもちろん、食事と午睡の前後、遊びの最中でもおむつが濡れていることに大人が気づいたら替えようという方針です。また、食事のあとにうんちが出る子も多く、とてもじゃないけど少人数で食事をしながら安全を確保しながら遊びを見ながらうんちを替えながら、、、と基準通りの職員配置では大人の手が足りない状況があります。必要な時間帯にサポートの大人を配置するという方法以外に何か工夫できることはありますか?
また、担当制保育を取り入れている園での排泄の自立はどのように行っていくのでしょうか?2歳児期などでお漏らしが多くて大変!というような状況はないのでしょうか?
A.『園の方針もあり、今のオムツ交換の回数は減らせない』でしたら、あまり参考にはならないかもしれませんが、“こんな風にしている園もありますよ”で、回答させていただきます。
担当制保育を行っている園では、子どもの清潔・快適を保ちながらも、育児とあそび両方の時間がきちんと保障された日課が作られています。
排泄の場面では子どもたちに身についていってほしい事も多いので、その分時間も必要です。排泄の回数が多いということは、1回の育児の時間が短くなっていたり、あそびの時間が途切れてしまったりしてはいませんか?
〈流れる日課での“排泄”(紙オムツの場合)〉
※私の園では、必ず家庭でオムツ交換をしてもらって登園してきますので、登園後のオムツ交換はしていません。
オムツ交換は、
①外遊びからの入室時
②午睡起き
日課の中で基本的にはこの2回です。
あとは、
◎便が出たらその都度交換。
◎入室の順番が早く、食事前にたくさん排尿している・排尿量がとても多いため午睡起きに漏れてしまう、等であれば食前に再度交換もある。(あっても1人ぐらい)
◎迎えが遅い子は、その子に応じて・必要な場合に交換
『改訂版 より丁寧な保育を考え始めた園へ
(P65〜日課の組み方)』にも日課例があります。ぜひ読んでみてください!
*オムツが濡れていないか、を常に気にしているということは、大人自身あそびを見るよりもオムツのことが気になってしまいそうです。
あそびもしっかり見れているといいですね。
*何度も排泄に行くことで子ども自身、“1日の流れ”や“順番”がわかりにくくなりそうです。
また、人の動きが多い中では、子どもたちは安心・落ち着いた気持ちであそびに向かえていないかもしれません。
*排便をした子のオムツ交換は、クラス全体が入室の途中であれば次の入室の子を呼ばず、先に排便した子のオムツ交換に行きます。その間は、入室は一旦ストップしているので、サポートの大人に入ってもらう必要はありません。
※どの場面でも同じですが、排便した子のオムツ交換が入ることにより日課が遅れしまうことはありますが、よっぽどの状況でなければ“人が足りない”ということはありません。(新年度等…)
*食後は、そのまま布団に向かう方が心身ともに良い状態で横になり体を休めることができます。(そのため、オムツを変える必要があるなら食前の方が良いかと思います)
紙オムツの機能性を上手に利用することで、子どもたちの清潔・快適をきちんと保障しながらも整ったリズムで生活することができますよ。(紙オムツだからといって、長時間放置することはありません!)
もちろんオムツ交換の時に、“清潔にすることとその気持ち良さ”を伝えていくことも欠かせません。
〈排泄の自立〉
担当制保育でどの様に排泄の自立へと進んでいくのか。排泄の自立は、個人差があることではありますが・・
トイレでの排尿ができるようになり、オムツが濡れることなく過ごせる様になってからパンツへの移行、としています。(排尿前に自分から知らせる事もできる)
そのため、一般的な“トイレトレーニング”と言われる期間や“トレーニングパンツを履く期間”はありません。オムツから普通のパンツに変わります。
*膀胱に尿が一定量ためられる様になる、排尿間隔が2時間程度あいてくる。等、排泄の自立には身体機能の発達も必要です。
身体機能が発達していないままに、パンツへの移行はしません。そのため、“お漏らしが多くて大変!”という状況はありません。
あちらこちらでお漏らしが起きていると、保育室が不衛生となり、大人はその対応に追われてしまいます。(保育室はいつも“清潔な場所”であるようにしましょう)
午前中の排泄の時にオムツが濡れなくなってくることは、目安の1つにもなります。(オムツに排尿していない=2時間程ためられている)
そのタイミングでトイレに座ることで排尿も見られやすくなります。
日課の中でいつも同じ時間の間隔で排泄に行くことにより、子どもの排泄間隔もつかみやすいです。
オムツで過ごしていても、子どもたちはおしっこが出たことを知らせてくれます。そこにきちんと目を向け、小さなサインや成長に気づいていけるようにしたいです。
子どもが安心してパンツに移行していくためには、育児の中でたくさんの“できた”の経験の積み重ねが大切です。どんな関わりの中で“できた”を経験していけるのかな?を考えると、大人の言葉かけも増えそうですね!
排泄の自立で大切なのは、一人ひとりの身体機能の発達と安定した生活リズム(日課)・安心できる環境(場所・大人)です。
どの場面でも、大切なことは同じですね!
(担当 河口)