噛みつきはなくなる 1
「あの子噛みつくんですよー・・お母さん忙しいみたいだし」
どんなお母さんだって忙しい。どんな家庭も、困難を抱えている。親のせいにするのが一番簡単。
「噛みつくから、他の子も避けるようになっていて・・」
それは、先生が”この子は危険”とサインを出しているから。
「あの保育士、経験が少ないから子どもをちゃんと見れなくて、その隙に・・・」
だれにだって”はじめ”はある。目を光らせるのではなく、子どもを”見るポイント”を伝授するのが経験者の役割だ。
噛みつきの99%は保育園に責任があると思っている。100%かな?とも思うけど、それだと園にとってもちょっと苦しいので、とりあえず99%。
ある2歳児クラスの7月の光景。
1人でパズルをしていたAくんのところにB ちゃんがやってくる。
手をだされてもAくんは一向に気にしない。「じゃましに来た!」ではなくて「手伝ってくれるんだね」と思えるからだ。そこにCちゃんもやってくる。だれも気にしない。
保育士と子どもとの関わりは、子ども同士の関係に顕著に表れるようになる。
保育士が子どもと丁寧に関わろうとする時、子どものことをまずはしっかりと見ることになる。しっかりと見てから、声をかける。
おむつ交換に行きたいけど、何しているのかな・・・
積み木つなげたの?上にものせたのね、倒れないようにのせられたね。もうすぐご飯だから、おむつを替えてこよう。戻ってきたらまた続けられるよ。
こんなやり取りが普通の光景なら、子どもも他の子の遊びをまずは見るようになる。見てから、そこに関わる。無理矢理遊びに押し入ることはないし、ちゃんと相手に合わせて遊びに参加するコツをつかんでいく。
こんなクラスでは、そばに来た子は”あそびをこわす子!ではなくて、”楽しさを倍増させてくれる仲間”になる。だから、遊びの中での噛みつきはおこらない。
でも、こんなふうに子どもたちが落ちついてあそび、保育士がゆったりと声をかけるためには、担当制や、流れる日課といわれる、日課の組み方がポイントになってくる。 続く