保育園でのビオトープ・・・ちょっと待って!
二週間、家(ハンガリーの自宅)を留守にしていたら、庭がすごい状態になっていた。一部分は勝手にルッコラ畑と化しており、これが満開の時はさぞかしきれいだったろうと思うけれど、今となってはただの雑草である。
「この前まで花が咲いていてすごくきれいだった」とは三男の談。
確か二週間前、庭の雑草をきれいに抜いた。それが、見事に成長している。短期間にここまで雑草が成長することは、空気の乾燥したハンガリー(たぶんヨーロッパの大半)ではまずなかった。でも、今年は雨が多く、湿度も高い。雑草にとっての天国だ。
春先も雨が多かった。そして、何が大量発生したか。”蚊”である。
ヨーロッパでは・・少なくともハンガリーでは日中は蚊がいない。草むらなどに入れば出てくるが、普通に生活していれば、蚊が出てくるのは日没前後で、その時間帯さえがんばればまた蚊はいなくなる。
でも、今年は雨が多かったせいで、日中も蚊が大発生した。それも、巨大な蚊が!!
雑草を抜きながら考えてしまった。日本で流行っているビオトープ。これの発祥地はヨーロッパだ。ヨーロッパは空気が乾燥しているから、雑草が日本のような勢いでは成長していかない。そして、蚊の出方も全く違う。
日本はただでさえ蚊がいる。子どもは蚊のいい餌になる。そして、ビオトープはまさに蚊を育てるためのような場所だ。蚊よけをぬって、もしくは、蚊取り線香を炊きながら保育園で過ごすのだろうか?もしくは、蚊よけのシールをあちこちに貼って、蚊よけの匂いをぷんぷんさせながら(つまり、子どもたちはそれを嗅ぎながら)一日過ごすのだろうか?
保育者たちは、蚊対策と雑草対策に追われることにならないだろうか?
保育者は「子どものため」という言葉に弱い。子どものために大切だからと言われたら、どれだけ暑くても、休憩時間を当てることになっても、蚊に襲われても、がんばって美しいビオトープの維持に努めるだろう。
園庭は子どもたちが身体をしっかりと動かせる貴重な場所だ。子どもたちが様々に身体を動かす空間を保障できるだろうか?
小さな子どもたちは草のみや育てている野菜も口にしてしまう。きれいだなと思った花はつい採りたくなる。禁止場面が多くならないだろうか?
見た目の良さ、一面的な長所と、その背景にある、その結果として生まれるものをきちんと検討しなければ、本当に子どもにとって、働くものにとって良いものかどうかは判断できない。
作ってしまった後では、かかった費用と「いいはず」と信じた気持ちが、変えることを躊躇させる。そして、やっぱりやらないほうが良かったと言うのも勇気がいる。
保育園でのビオトープ、高温多湿の日本では特に慎重に!!