良いおもちゃ、悪いおもちゃ
「良いおもちゃ、悪いおもちゃ」この表現に悩まされている、もしくは、振り回されている・・・「これは悪いおもちゃですよ」と言われて捨てたのに「あれは必要な遊具だったのに・・・もったいなかったですね」と言われて頭を抱えた経験のある園は、日本全国にかなりあるのではないかと想像している。
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マイバ幼児保育園 2018年1月(異年齢クラス)
この遊具が良いのは、「木のおもちゃ」で「どこかの有名なメーカーのもの」だからではない。
机の上に場面を作ったことで、この異年齢クラスの年少の子たちにとっては、大きな子たちとちょっと離れた空間で”練習あそび”を安心してできる。そして、そこに大人が冬の場面づくりを提案することで、子どもたちが経験したことを思いだしたり、想像力を生かしたりして、年齢なりの、その子たちなりのあそびができる。「このおもちゃがあればいい」「このおもちゃがあることで子どもたちが発達する」ということではないのに、どうもそこが誤解されやすい。もちろんおもちゃがあることで子どもたちの発達を援助することができるのは事実だが、何を、いつ、どんな風に、何のために、が考えられなければ逆効果になることも多々ある。。
で、これを読んだ方が「そうか、異年齢の年少たちには机の上にこういった場面を作ったらいいのね」と解釈したとしたら、それも違う。たまにはこういう場面があるのも良いし、あそびの空間づくりのバリエーションの一つ、という意味ですよ。
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プラスチック系のおもちゃが目の敵にされるけれど、要はバランスの問題だ。
レゴしかない保育室、レゴしかしないクラスであれば、「遊具を考えましょうか」と提案はできるけれど、レゴは悪いおもちゃですというのは極端すぎる。
音のなるおもちゃも、特別に買う必要はないと思うけれど、他にもいろいろな遊具がある中であれば、一つか二つあってもどうということはない。でも、おもちゃに力を入れいている園の人が目撃すると「まー、あんなおもちゃを置いている!」とまるでそれだけでだめな園かの様な烙印を押されてしまう。
例えば、入園したばかりで泣いている子が、家にもあるような音の出る遊具を見たらちょっと安心するかもしれない。音が出るからちょっと気が紛れて、また違う音を出して気を紛らして…そのうちだんだんとまわりにも目を向けるようになるはず。
逆に、気になるのは、「これ、面白いし、盛り上がりますよ!」とおもちゃ屋さんがよく進める、スピード系、反射神経を試すようなゲーム。ぱっとどれだけ早く反応してカードがとれるか、というようなタイプのゲームは、確かに盛り上がる。でも、今の世の中、その手の活動はいろいろな場面で練習できる。
ボタンを押せば何でもかんでもすぐに反応するような社会で育つ子どもたちに必要なボードゲームは、じっくり系、サイコロを転がして進めたり、先を見通して考えたり、しっかり観察して記憶したり、そういうゲームではないだろうか。
バランスということを考えれば、日本の、遊具を揃えているような園でも室内やホールなどで使える運動系の遊具もとても少ない。
良いおもちゃですよ、と言われているものが、必ずしもそのクラスに必要なものとは限らない。逆に、悪いおもちゃですよと言われているものが、まさに、そのクラスに欠けているものであることも十分あり得る。
誰かの意見は、あくまでもその人の意見。どんな研究結果、調査の結果があったとしても、そこにも、それに関わった人たちの視点が入っている。その社会、その時代、そこに関わった人達が出発点になっている。それを思えば、あるおもちゃを「絶対に良い・悪い」と言いきれること自体が不思議に思える。
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おもちゃを買えない園、まだおもちゃを揃えられない園の保育士は、とにかく工夫して遊具を考えだす。いろんなものは買えないので、この子たちには何があったらいいいかな・・・こういうことしているということは、こんなものがあったらあそぶかな?これぐらいの大きさで、こんな形が好きかな?と考える。ホワイトボードに貼ってあるのは、百均で売っているマグネットシートを切り取った形。
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つまり、何が言いたいのかというと、まずは自分たちで考えましょうね、ということです(^^
自分の園、自分のクラス、担当している子どもたちは今どういう状態なのかな・・・そして、この状態をここまで(保育目標。どんな保育をしたいか、ではなくて、子どもたちをどう育てたいか、です)持っていくためには、どういった環境と、どんな遊具や道具、関わり方が必要なのかな・・・。
そこを一生懸命考えることができれば、いろんな意見も上手に受け止められるようになるかもしれませんよ。