だって、分からないんだもの!

ハンガリー保育研修では、時々、自由に食事を選んでもらうことがあります。メニューを見て、がんばって読んで自分で注文する!英語のメニューもついているので、なんとなく材料は分かる。

日本の人は手が良く動くというのか、指をさしながら考えるので、そして、うんうん、いえいえと頭も動くので、お店の人はたいがい混乱します(笑)

「こっちじゃなくて、こっち、こっちをね、二つ、二つ、」と指さしながら、指で日本のVマークでの2を見せるのでお店の人は「3?」「4?」となって(海外で指を使って数字を伝える時は要注意です)、また「ちがう、ちがう」となり・・・「こっちじゃなくて、こっちなの・・・」と。

変なことになりそうだったら、もちろん手伝いに行きます。

お店の人が気の毒なので(^^;

見ているとおかしいですが、こんな経験をすると、言葉が分からない、通じないってこんなに大変なんだなーと、子ども達のこともよく分かるはず。いい経験です!

次は、自分たちでお店に行って、注文して、払うということも試してみて下さいね!と、少しずつ自分たちで動く範囲を広げていきます。

交通機関も同じく。一緒に乗りものに乗って、チケットの使い方や乗り降りの仕方を教え、次には、自分で乗ってホテルまで帰ってくる!を練習したり。

ハンガリー研修を組んでいる時に考えていたのは、保育研修だけれども、それ以上に、「分からない」を実感する、子どもの立場を経験することが大切なのではないかなーということでした。

右も左も分からないところで、言葉(何しろハンガリー語!)も分からないところを一人で動いてみる。

ルールもマナーも違う中で行動しようと思っても、教えてくれている人の言葉が分からない。(「○○が分からない」も伝えられない)

相手の表情を読み取るしかない。(きっとこういう時って、相手の口を一生けん命見ると思います。そこから言葉が発せられるのでそこを見れば理解できるような気がして・・・。子どもだったら、そんなことを繰り返しているうちに、自分も一緒に口を動かし始め、発音されている言葉と口の動かし方を真似して正確に発音できるようになっていきます。だから、子どもの言語発達にとって保育士のマスクはかなり良くないのです・・・)

分からなくて間違えているだけなのに困った顔をされたり、時にはムッとされるのがどんなに辛いか、悲しいか。

そして、分からないのを理解して丁寧に教えてくれる人の存在がどれだけありがたいか。

大人だから、体だって動くし、理解力もあるし、一回教えてもらえたらたいがい覚えられるし‥‥それでもこれだけ大変なのだから、小さい子ども達だったらどれだけ大変か。

相手によって伝え方も違うし、表現、使う単語も方法も違います。

「お金はここで払ってください」

「支払いはこちらでお願いします」

「ウェイターを呼んで計算してもらってください」

「あっち」(と支払う場所を指さす)

あまりにも相手に嫌な顔をされると「仕方ないじゃない、分からないんだから!!」とムッとしてしまうかもしれません。

子どもだって、大人の言っていることが分からなかったり、こっちの伝えたいことが分からなかったりすると怒りたくなりますよね。だいたい、そういう場面って眠かったり、お腹が空いていたり、おむつが汚れていたり、もっと遊びたかったり・・・・の場面なのでなおさらです。

そして、「ちがう、違う!」と怒っている子どもは、逆に怒られてしまうという・・・。

分からないことを分かるように教えるのが私たちの仕事。

何が分からないのかな?

伝え方が悪いのかな?

この単語を知らないのかな?

分かっているけど、何か納得できていいないのかな?

休みの期間に、思い切って普段いかないような場所に行ってみて下さい。

場所やシステムに戸惑い、そこで使われている言葉(日本語なのに!)も違い、そこにいる人たちも何となく馴染みのない雰囲気で‥‥という場所に。

新しいことってなかなか大変だな、でも、いい雰囲気の場所だったら、いい刺激になったな、自分の世界が広がったな、と思うかもしれません。

逆に嫌な雰囲気だったら、二度と行きたくなくなりますね(^^;

たくさんの新しいことを覚えている子どもたちにとって、保育園が、いい刺激に満ちた、そして、それを丁寧に分かりやすく教え、仲介してくれる大人たちのいる場所だといいですね♪