それほんとう?⑦ 食器

いろんな保育園に行くと、それも、物的環境を整えるのはむずかしいので、まずは大人の関わりの部分で頑張っている園に行くと、いろいろなことを考えさせられる。

最近、そうかー、これは改めて考えた方がいいだろうなーと思ったのが、食器。食事の形態。

担当制保育を進める園の多くは、ワンプレートでの食事を取り入れている。”食べること”を練習している乳児にとっては食べやすいからだ。

でも、食器を買い替えることができない園、もしくは、そこには抵抗がある園は、今まで通りのごはん茶碗とお汁椀、おかずのお皿を使っている。これだと、ここに果物皿とお茶のコップまでが加わり食器の数が多くなるし、子どもが食べやすいようにお皿をぐるぐる回すことになるので、食べにくいよね、上手に食べるのは難しいよね・・・・と言われていた。

でも…乳児期から子どもの自立度に合わせて一対一、二対一とすすめている園を見ていると、この食器形態でも子どもたちは驚くほど上手に食事ができるようになる。丁寧に関わるのだから、一人ひとりに合わせて丁寧に教えることが可能なのだ。

子どもが食べやすいようにふちが内側に折れ込んでいるお皿を使っていると、確かにすくいやすいけれど、手首を返してスプーンですくう練習にはならない。そして、当然のこととして、幼児になってもスプーンや食器を上手に扱えない子が続出する。

子どもが上手に食べれるようになったら、少しずつプラスの課題を増やしていこう。大人と子どもの距離を上手にとっていくためにも、大人一人が見る子どもの人数も増やしていく(もちろん、子どもの食事の自立度に合わせて)。

ワンプレートでの食事をすすめている園は、2歳の中頃からは、ごはん茶碗とお汁椀への以降を検討してみたらどうだろう。それまでに食事の流れやマナーや食べることを丁寧に教えてきたのなら、幼児に上がる前に食器の数を増やしたほうが、子どもにとっても適度な難易度が加わるし、大人の方もしっかり見ていこうと意識を保つことができる。(いつまでも幼い形態での食事、大人に対する少ない数の子どもでは、2歳半ばあたりからいろいろな面でだらけてくる)

そして、食事だけがすべてではない、ということも忘れないでほしい。担当制保育をしている園は「おもちゃと食事」に力が入りすぎる傾向があるが、保育は全体をバランスよく考えなければ絶対におかしなことになる。

補足 : 「ごはん茶碗とお汁椀・おかずのお皿」からワンプレートへの移行が進められたのは、海外の保育が参考にされ始めたあたりからなのではないだろうか。海外の乳児の食事は、メニュー自体が違う。煮込み料理、クリーム煮といったものが多いので、当然食器も違う。こういった食器と食事に慣れている海外からの保育指導者が「日本の食器は乳児には難しすぎる」と指摘したであろうことは、容易に予想がつく。

テーブルクロスも同じく。海外では、なければ主婦としてのレベルが疑われてしまうくらい意味あるテーブルクロスだが、それは、その国の食文化の一部だから。日本では、机の木肌の美しさが映える食器を使うことで食卓が美しくなる。水ぶきに耐えられる材質を使った机を毎回きれいにふいて食卓の用意をする方が、日本的なのではないだろうか。

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