制作―描画 何を伝えたい?育てたい?

よくある、子どもの自由な発想での描画・制作。もちろん、表現は子どもたちが自分の内面の世界を表現する場でもあります。でも、気を付けないと、これも自由あそびと同じで、結果的には表現の方法を身に付けないままになってしまったり、個人差がかなり開いてしまったりします。

描画・制作・手工芸は、大人がバリエーション豊かに計画を立て、そして、たくさん繰り返すことで、素材を知り、技術を覚え、同時に、自分自身も発達し、より、自分の表現したいものが表現できるようになります。

「これと同じものを作りましょう」「今日はこれを作ろうね」の場合は、その活動のメインは技術を覚えたり、道具の扱い方を学ぶこと。同時に、こんな表現方法もあるよ、と経験すること。

これも、「今週はこれを作ろうね」と大人の方が計画して作ったものたち。

日本でよくある、「みんなで同じものを作る制作」と何が違うのでしょうね?全然違いますよ!

まず、これはみんなで一緒には作っていません。技術を教えることが目的だし、最後まで、きれいに作ることが目的なので、毎日少人数で行っている活動(自由あそびの中で、でも、必要であれば声をかけて誘いながらの計画的な活動)。

保育士の中には、この活動を通して何を学んでほしいかな、子ども達に何を練習してほしいかながはっきりとあります。

(これらの制作を通して、何を学べると思いますか?何を経験できると思いますか?大人は、子どもとどんなことを会話したでしょうね?)

もう一つよくあるのが、自由なのびのびとした表現なようでいて、実は単に雑なだけの描画や制作。

描画や制作は、表現であると同時に、美的感覚に働きかける活動。

作るなら、きれいなものを。美的センスが刺激を受けるような、そんな”作品を生み出す”。

発達的に、もしくは、能力的にまだ上手にできなくても、大人のちょっとした配慮で作品は素敵になりますよ(ここでの”上手”は、上手に作らなといけないという意味での上手ではないです!)。

でも、子どもがいくら上手に作っても、もしくは、一生懸命作っても、センスが悪くて雑な、家に持って帰ってもどこかに飾ろうとは思えないようなアイデアの作品(子どものせいではなく、大人のセンスのなさで)を毎週生み出していたら、子どもの美的センスは育ちません。それどころか「作る=適当でもOK」となります。

ハンガリーでは秋にお墓参りがあり、こんな容器に入れてろうそくの火が消えないようにします。

「お墓参りに行った?何を持って行った?(一般的には花輪を持っていきます)誰と行ったの?誰のお墓?」

「ろうそくは何で火をつけたの?消えなかった?・・・・」

「他にも何かした?(お墓の周りを掃除したり、そのまま家族で食事に向かうことも)」

…作りながら、いろんな会話ができますね。

大人の用意したろうそく入れ、全部形が違いましたよ。

そして、飾り方も素敵ですよね♪背景の布の色もちゃんと考えていますね。美的センスは、まず大人から!ですね。

(大人も楽しく!がよく言われますが、まずは、こういうところで楽しんでほしいですねー)

そして、例えばハンガリーでしたら、描画・制作は週に一回は必ず入れます。つまり、年間で考えると相当な種類の技術と素材を使って、いろいろなテーマを取り上げていることになります。

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・・・ということで、制作のアイデアも入った年間計画も、作っているところですよ。お楽しみに!