東京セミナー Q&A「2歳児 育児で時間のかかる子」

Q保育士の育児に集中できない子(特に着脱)には、手元を見るように促すばかりでなく、大人が援助をしながら流れを覚えさせていく。というおはなしがありました。2歳児で、技術的にはほぼ自分でできるのに、いつまでたってもやる気にならず、声を掛けつつも一番最後の子が終わっても着脱が終わらない、手伝おうか?と声をかけると「自分でやる」と怒っている。技術を習得する時期に、声をかけすぎ、時間をかけすぎた、保育士との程よい距離感が取れていなかったからなのでしょうか。

A、これで悩んでいる方、多くないですか?

声をかけ過ぎた、時間をかけ過ぎた…実際に見てみないと何とも言えないのですが・・・。

声をかけるのはいいのですが、「してほしいことを言い続けて待っている・・・・」という状態が続いていたのかな・・・そういう可能性はあるかなーと思いました。

実際に保育を見ていると、大人の”見ている時間”が長いなーと思うことがあります。ただ見ている。大人の手が止まっている。止まっていたとしても、何を援助したらいいかなと動く直前の状態の手と、完全に「自分でやってよ」と止まっている手には違いがあります。

自立してほしいから、自分で行ってほしいから「頑張ろう」「手元をもっと見てごらん」「ここを持ってごらん」と励ましながら見ているのだと思います。もちろん年齢のわりにはてきぱきとできる子もいますが、なかなか体が動かなかったり、性格的にのんびりしていたり、気が散りやすかったり…といろいろな子がいます。そういう子たちを「頑張ろう」と待っていると、その”待たれている時間のテンポ”が身に付いていくように思います。

クラスの子どもの人数が多かったり、園庭がなくて公園に移動しなければいけない園の場合は悠長に待っているわけにもいかないので、大人の方もテンポよく援助することになります。子どもにしてほしいことを言いながら、子どもが体を動かすのに合わせて大人も援助していくので、子どもがずっと体を動かしているような状態になり、結果的には着替えのテンポが身に付きやすいです。

この場合も、1歳なら1対1、2歳なら2対1で着替えているので、大人の方も子どもの体の動きや反応を感じながら対応しています。ここはできるかな?と思うところでは止まって子どもに試してもらったり。手伝いながらも「外で何する?」「公園では何しようか」と話せれば、子どもも次の活動を意識しながら着替えることになります。

ですから、大人がもっと積極的に援助していくと言っても、大人数の子どもを並べて、子どもの意思と関係なく無理やり服を着せていく(他を向いていても、全く気が付いていなくても服を着せていく)のとは違います。

2歳になれば、ごく普通の発達としてもちろんいろいろなことは育っています。身体機能的にも着脱ができるだけの育ちはあると思います。でも、だからいって「着替えられるはずだよね」となると、子どもとの関係がぎくしゃくとしてくるのではないでしょうか。こうなると悪循環です。

「自分でできるんだから頑張ってほしい」と思うよりも「今日は寒かったから洋服も冷たくなっているね。手も冷たい?」「靴下、汗かいて濡れているよ」「お部屋は暖かいかなー」「さー、外で何する?」「部屋で何して遊ぼうか」と、せっかくの着替えの時間を貴重な子どもとの時間と思いながら、てきぱきと援助でいるといいですね。

「また遅い・・・時間かかっちゃうな・・・」と大人がうんざりしていると、子どもだってしんどいですね。

大人だって「できるんだから、頑張りなよ」と言い放たれたって・・・ですよね(^^;

大人だから一応いろんな機能は育っているけど、できないこといっぱいあります。

機能的な育ちと実際にできるかどうかは必ずしも一致しないので、子どもが困り感を感じないでいいように関わり方が工夫できるといいですね。この関わり方の工夫はコツをつかむしかないので、まずは大人の方が頑張りましょうか!

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