Q&A 「担当制の良さをどうやって伝える?」

Q.  株式会社の保育園で、そもそも保育の基盤がなく、クラスによって保育の仕方に差があり、正直大人の都合で子どもを動かすような保育になってしまっています。数年前に育児担当制の保育を取り入れたいことを伝えると、検討してもらえましたが、浸透していく、また育児担当制について伝えていく、他の職員に教えていくことは難しいと言われてしまいました。良さを伝えていくにはどうしたら良いでしょうか。

A. まず、株式かどうかにかかわらず、どんな園でも保育の方法を変えるのはとっても大変ですよ。

それに、保育の基盤(??)のある園、伝統のある園の方が保育を変えるのは大変かもしれません。

大人の都合で動かす保育…これは、いわゆるどこでも見られる、ごく普通の保育ですね。だから、そこの園が特別に悪くて、ひどいメンバーがそろっているわけでもないです(…残念なことに)。

園長が「担当制をしたい!」といって職員全員が大反対をするというのは、まあ、よくあるケースです。というよりも、これが一般的な反応ですね。

もしくは、職員が担当制をしたいと思っていても、園長や理事長が理解してくれない…というのも良くあります(この場合、トップが理解していないので、担当制の導入はかなり難しいです)。

園長と職員数名が担当制を頑張っていても、反対勢力が会議で後ろを向いて座るぐらいの勢いで抵抗するという園には、何度も出会っています。(^^;)

比較的スムーズに導入できるのは新園で、最初から「この方法で行きますから」ときちんと研修をして、皆の意識を「こっち!」と向けられた場合です。

どれだけ反対されても、子ども達のためにはこの方法がいいはず!と信じて頑張れるかどうか、職員に伝え続けられるかどうかで、その先の保育内容は変わっていきます。

反対している人たちが、気がついたら熱心に保育を考える人になっていることも多いですし(保育を一生懸命に考えるがゆえに細々と納得できなくて反対していたのが、納得できた場合)、納得できなくて辞めていった人のところに新しい職員が入って、園の雰囲気が良くなっていく…というのもよくあるパターンです。

ですから、自分達の本気度が試されるのが導入時です。

株式でしたら、たぶん、本部の方から「導入は難しい」と言われたのでは、と想像します。

それでも、そこの園(そこの会社)に残って担当制を行うことにこだわるのであれば、まずは何とか遊具をかき集めて、子ども達のあそびの環境を作るところからだと思います。

担当するクラスがあるのであれば、自分のクラスから。もし、園長などの立場であれば、関心を持ってくれそうな保育士のいるクラスから。

もし、可能であれば、せめて自分のクラスだけでも担当制の流れをしてみる。もしくは、一クラスだけでも良いから、一年間担当制を行ってみる。

もしかしたら、最初は上手くいかない場面も多く、他のクラスの先生たちに「だから担当制はダメなんだ」と言われてしまうかもしれませんが、それでも、担当制をしてもらったクラスの子ども達は、一斉で保育された子ども達よりも幸せな時間をたくさんもらったことになるはずです。もし、もう一年続けられたら、今度はもう少し落ち着いたクラスになり、周りのクラスも少し関心を持ってくれるかもしれません。

どうやって良さを伝えていったらいいか…。自分がどうして担当制をしたいと思ったのかをもう一度思い出して、それを言葉にして同僚に伝え続ける、自分ができることをする…それに尽きるのではないでしょうか。

皆、そうやって少しずつ、保育を変えていっているんですよ。頑張りましょうね♪