建物・・感染予防の視点から

ハンガリーの乳児保育園、幼児保育園には、入り口がいくつかあります。 

できるだけクラスに近いところに入り口を設けるので、4クラス以上ある園であれば、たいがい入り口は二つ。

園によっては、自分のクラス専用の入り口があり、そこから登園し、受け入れ室で着替えて入室。保護者も、受け入れ室から子どもを預けます。

入り口も混まないし、確かに保護者も子どもも無駄に動く必要がないなー(園全体を突っ切ってクラスに行くなど)と、その程度に解釈していのですが・・・。

今回、コロナの対策を頭におきながらハンガリーの乳幼児の建物を思い出すと、納得できることが沢山あります。

例えば

「建物内で不特定多数の大人が動かないでいいように、動線を最小限にする」

玄関からクラスに直結していれば、不特定多数の人が建物内を歩き回ることはありません。多くの場合、園長や事務所に用事のある人の動線は保護者や子どもたちとは別になっています。

「できるだけ、建物内でのクラス外の保護者同士の接触を減らす」

玄関がちがければ、自分のクラスの子どもと保護者との接触ですみます。感染があったとしても施設全体に広がらないようにするための対策としては、いかに小さな範囲での感染を抑えるかがポイントになってきます。ある程度同じ時間に登園して来る、いつものメンバーとだけ顔を合わせているのか、不特定多数の人と顔を合わせることになるのかでも、感染の広がりは変わってきます。

「複数のクラスの子どもが同じ時間に一つの場所で過ごさないようにする」

これも、感染を施設全体に広げないためのポイントになりますが、クラスに玄関、トイレ、受け入れ室がついていれば、その範囲で生活できます。もちろん、ホールで体操したり、園庭を使ったりという移動はあるけれど、必要であれば活動範囲を狭めても生活自体に支障がありません。

こういう建物だと、もし、子どもや保護者に感染者が出たとしても、その保護者の園内での動線や接触者を把握しやすいのだなーと改めて理解できます。

こんな風に考えていると、クラスに関わる大人がはっきりしているのも、子どものことをよく知ることができる…ということもあるけれど、例えば感染の視点からしても合理的なんだな…と納得できます。掃除の人たち、洗濯担当…衛生面に関する人たちがいる・はっきり役割分担ができているのも、こういう時は持ち場・役割がはっきりしていてるのでわかりやすくなります。

日本で唯一かどうかはともかく、日本でこのような建物になっているのが、兵庫県、和田山の枚田みのり子ども園ではないかな…と思います。

https://k-fukushikai.com/minori/about/#info

全体図がのってないのですが、各部屋に玄関、受け入れ、トイレがついています。内廊下は職員が使うのみで、保護者は使いません。外部からの人たちは別の玄関を使い事務棟に入ります。こういう事態になってみると、かなり合理的です。そして、この造り故の家庭的な雰囲気があります。

ハンガリーの乳児保育は医療系に所属していた期間が長く(現在は教育系として移行)、その辺りの衛生観念は幼児保育にも引き継がれています。手洗い・消毒だけでなく、建物全体のつくりから…今更ながらの新しい発見でした。

ちなみに、感染が広がり始めた時、国から各施設に出された指示の中に洗濯方法が含まれていました。どんな布(綿、化繊、など)をどんな種類の洗剤で消毒してから、何度のお湯で洗うか。現在も、消毒方法、掃除の方法などは指示があり、体操はできるだけ園庭やテラスで、と言った「配慮事項」はあっても、子どもや保育士のマスクは指示されていません。慣らし保育もまずは園庭で、その後、室内でも。マスクをし続けていることの弊害(肺への負担、表情を読み取れない事への不安感、言語面への弊害・・・)、小さな子どもたちができるだけ日常生活に近い日々を送れるようにという配慮、新入園児にとってもできるだけ負担がないように・・・。何を一番大切に考えて判断していくか・・・考えさせられますね。

コメントを残す