絵本は大人が読むもの?乳児クラスには絵本は置かない???

絵本神話、いろいろあるんですねー。

こんな質問が来ました。

「今の園の方針は『絵本は大人が一対一で読んであげるもの。絵本を扱えない0歳、1歳児クラスでは絵本がボロボロになってしまうので手にとれる場所には絵本は置かない』というものです。でも、以前の園では乳児の子どもでも読める絵本を置いておけば、一人で眺めている子ども達もいました。一人で絵本を眺めているのはかわいそうな光景なのでしょうか?絵本は大人が読まないといけないものなのでしょうか?」

「いろんな考え方があるよね」と言ってしまうには、あまりにも極端な考えだったりで、保育士さんたちも困ってしまいますね。

保育室に置くものは、年齢に沿ったもの、発達に見合ったものを選ぶと思います。

絵本は子どもたちの知的能力や言語発達に働きかけますし、コミュニケーションの材料にもなります。ですから、保育室に絵本は必要です。でも、子どもの発達に合ったものを!

0歳だったら、一頁に絵が一つの物。その絵も、シンプルに分かりやすく描かれた、子ども達の身近にある物や子ども達に知ってほしい絵が載っているものを選びます。

拭いたり洗ったりできる素材の物なら、口に入れても大丈夫だし、手で握って振り回したりしても危険ではないですね。

口に入れたり手で握って振り回すようなら絵本を渡さない方が良い、と思いますか?

赤ちゃんでも絵をじーっと眺めます。絵を見たら、それに手をのばしたくなるし、口にも入れたくなります。小さな子どもにとっては自然なことです。そして、手に持って振り回していても、また絵が目に入ってじっと見つめるはずです。

そばに大人がいれば「フーセンだね、赤いね」「リンゴ、リンゴも赤いね」などなど、絵を見ながら話すことができます。子どもがその時すぐに理解しなくても、見た絵と大人の言葉はどこかでリンクして、子どもの中に残ります。

この絵本だったら、どんな年齢、発達の子が楽しめると思いますか?

厚い紙なので、めくりやすいですし、丈夫です。

イラストもシンプルなので、子どもにも分かりやすいですね。

子どもと一緒に眺めながら、どんなお話ができそうですか?

ーボリボン(クマの名前)、お散歩しているのかな

ーテントウムシがいるね

-お話ししている?

ー何お話ししているのかな?

-どこ行くんだろうね?

子どもはどんなことを読み取ると思いますか?

大人や子ども達が自由にストーリーを考えることもできますね。

背景がないので、小さな子どもでも絵を見やすいです。

とり、クマ、魚、木、池…どれも、小さな子ども達でも出会い始めている、絵を見て、名前を聞けば理解できるものたちです。

ストーリーを作ってもいいし、そのページだけを楽しむこともできます。

2歳ぐらいの子ども達向けの絵本は、簡単なストーリーが出てきます。

見ただけでも分かりやすいし、子どもでも理解できる内容です。

登場人物や物も、子どもが知っているものや日常生活の中で出会うもの、基本的な知識として知っておいてほしいものがメインです。

こんな絵本だったら、大人とも楽しめるけれども、子ども達が一人で眺めてもきっと自分なりに楽しめることができますね。そして、きっと一人で絵を読みながらお話しすると思います。

絵本は、子ども達に絵を見ることを教えます。

新しい言葉や言い回しも教えてくれます。

身近な世界を理解することも助けてくれます。

一緒に眺めたり、会話をすることでコミュニケーションのきっかけを提供します。

もちろん、絵本の種類によっては想像力に働きかけ、違う世界に導いてくれます。

絵本は子どもの発達に欠かせないものです。

でも、絵本だけが子どもの発達に働きかけるわけではないですし、大人がいないと絵本を楽しめないわけでもありません。

(それに、以前も書きましたが、日本の絵本には大人が楽しむための絵本も/が多いですね。必ずしも、本当に子どもの視点に立って作られたものではなく、大人の視点から、大人の世界から子どもを見て考えられたものがかなり多いように思います)

絵本以上に素話や詩の世界は子どもの世界を広げ、想像力や情緒に働きかけてくれます。

子ども達の発達にふさわしい絵本を選び、子ども達が手にとって眺められるようにしましょうね。