東京セミナー Q&A「あそび?あそびじゃない?」

Q.1歳児クラスです。机上コーナーに置いている重ねカップを構成コーナーに持っていき、動物をカップに入れて遊ぶ姿があります。イメージを持って遊んでいるようには見えず各コーナーで遊ぶように促していますが、どのように対応していけばいいでしょうか。

A. どこで、どんなふうに使っているかにもよるのですが、重ねカップを構成の空間に持っていって動物を入れて遊ぶのは、一歳児や二歳児であればごく普通のあそび方だと思いますよ。逆に、いい遊びと言ってもいいかもしれません。

重ねカップは、大きさや形、順序性などを経験できる遊具です。特に1歳ごろの子どもたちはこれにいろいろなものを入れてこっちには入るけど、こっちには入らない…とあそびながら何か考えています。

この段階のあそびでは、まだイメージというよりは、なんとなく・・・いろいろと試していると思います。大人は、遊びを見ながら「カップの大きさに合わせて動物を選んでいるな・・・」「そういえば、全部キリンだな・・・」と見ながら、声をかけてみるといいと思います。

この時も、気が付いた保育士が何か声をかけていました。多分、楽しい遊びをしているな、と思って何か一言いったのだと思います。この一言を考えすぎてしまうと何も言えなくなると思うので「お風呂入っているみたいだね」「みんなキリンだね」「おうちかなー」…何でも、見て思ったことを言葉にしてあげたらいいと思いますよ。(「お風呂入っているんだね!」と大人が決めつけるのではなくて、○○みたいだね、という声かけを)

保育士さんが声をかけた後、子どもの中で何かが浮かんだ?ようで、遊びが続いていました。

多分、質問をしてくださった方は「こんな感じじゃなくて、ただ入れているだけなんだけどなー」と思うかもしれませんが、子どもたちのあそびの最初って、ただ何となくしているようなことも多いです。そこで大人が何か言ってあげることで「あ、本当だ、全部キリンだ」とか「ほんとだお風呂みたいだ」と思ったりします。思わないかもしれませんが、それでも全然かまいません。

だから、子どもが何かしていたら、「こんなあそびをしてほしいんじゃないんだけどな」ではなくて、この子は何をしているかなーをまずは見てみてくださいね。

よく「イメージを持って遊ぶ」って言いますが、みんながみんな、イメージを持って遊んでいるわけではないです。乳児さんは、どちらかというと試している、イメージ以前の練習遊びをしていることが大半です。

この子も、何がきっかけだったか分かりませんが、「囲もう」とイメージを持って遊び始めたわけではなくてこの辺りから「あら、囲んじゃった」と気が付いたような気がします。

イメージを持って遊ぶときもあるけれど、そうじゃない繰り返しや試しているあそびもとっても大切です!!

繰り返しの練習遊びがあって、その後にイメージのあそびが出てくると考えるといいかもしれません。

もし、台所に持っていって食器として使っているようなら「こっちを使おうね」と食器をすすめるようにします。でも、もし、床であそぶ空間にチェーンリングがあれば、重ねカップにチェーンリングを入れたり出したりしての、一歳さんならではのあそびになります。

…だから、台所のチェーンリング、やめた方がいいと思うのですが・・・・してほしい遊びをしてもらえなくなります。場所が悪いです(^^;

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写真はすべて元町キッズ(神戸)さんでした。